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25.打ち上げ花火

あ
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ある街で毎年7月に開催されている花火大会。

花火の規模は数万発で、結構大きな大会だ。

当日は人口の数倍の見物客で街は人でごった返しになる。

私は地元だったから、毎年行われる花火大会は特に珍しいものでも

なくなっていた。

でも、その年の花火大会は特別だった。悠介くんと一緒だったから。



駅に着くと、悠介くんがすでに待っていた。

「お待たせ。待った?」

「待ってないよ。今来たところ。」

彼は笑顔で答えた。

この日は普段より特段に気合いを入れてきた。

紺地に白の百合模様の浴衣に青紫の帯を合わせて、

髪はアップにして左右少しだけ髪を残す。

おまけに風鈴のピアスをつけた。

アラサー頑張った・:*+.\(( °ω° ))/.:+



二人で電車で約30分揺られたあとは

花火の打ち上げ時間が始まるまで出店で食べ物を買ったり、

お土産店や観光スポットを見て回った。

実はちょっとした観光地で、恋人の聖地もある場所だ。

お祭りじゃなくても、デートには絶好の場所だと思う。


直前になって場所取りをしていると、

花火が始まるアナウンスが流れた。



今まで忙しなく動いていた人々の群が、アナウンスをきっかけに

まるでスローモーションのようにゆっくりとした流れになる。


花火が始まった。

小さい花火が続いたあと、大玉が打ち上がりたくさんの大輪の花が空を彩る。

私たちはずっと手を繋いだまま「わー」とか「綺麗ー」とか

言いながら花火を堪能した。

私は花火の明かりに照らされた彼の横顔も堪能した。



花火大会あるあるで、終了したらとんでもなく混み合うことが

予想できた。そこで、私たちは全ての花火が終わる前に電車に乗ることにした。

窓からはまだ花火が打ち上がるのが見えた。

後ろ髪を引かれたけれど、満員電車に乗るよりはいい。

「楽しかったね」

「綺麗だったね」

なんて言いながらキャッキャと楽しくおしゃべりしていた。



その時、スマホの画面に着信が表示された。

“彼”である。

出れるわけがない。

普段あちらからは連絡してこないのに、

よりによって今電話してくるなんて。

すぐにLINEが来た。勘が働いたのだろうか。

悠介くんに見られないかと思って心拍数が急上昇する。

彼

何してるの?

私は悠介くんに見られないように返事を送る。

うつ子
うつ子

友達と花火大会に来てるよー😀

彼

そうか。楽しんでね。

たったこれだけのやりとりだったけど、

さっきまで浸っていた花火大会の余韻は消し飛んでいった。



“このままじゃいけない”

いくら彼氏がギャンブル浮気野郎でも、

二股は人として最低だ。

今のままじゃいつか全部ダメになる。

この状況を変えたい。できれば幸せな結末で。





そうだ、悠介くんと結婚しよう!

男性諸君、これが本物のうつメンヘラ女の超短絡的思考だ。





私は心の中で固く決意した。

そのためにはどうしたらいいものか。





あ!あの本だ!!!

悠介くんと付き合うために使った恋愛心理学で

結婚できないだろうかと思った。


そう、またあの本を開くときがきた。

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