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6.虚しさとか悔しさとか情けなさとか

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ルメディカ シャインホワイト



初めましての方は第1話からどうぞ✨



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次の日の朝。

カーテンの隙間から入ってくる光で目が覚めた。

狭いシングルベッドに大人がふたり。

キッチキチだが密着度はかなり高い。

時計はまだ朝の6時だった。


昨日出会ったばかりの悠介くんの寝顔がすぐそこにある。

『まつげ長い。鼻高い。肌も白くて私なんかよりよっぽど女の子みたいだな。』

彼の寝顔を眺めながらそんなことを思っていると、いつの間にかまた眠ってしまった。




次に起きると、悠介くんはすでに起きていた。

「おはよう。」

私が挨拶すると、悠介くんはようやく聞こえるくらいの声でおはようと返事をした。

だけど、なんだか昨日と別人なくらいに雰囲気が違う。

「部屋に大きいテレビないんだね。ドラマとか見ないの?」

彼の部屋に置いてあったのは、一人暮らしなら誰でも持っているであろうテレビではなく、置き型の小さなポータブルテレビだった。

しかもそれすらほとんど使っていない。

「ニュースはネットで十分だし、ほかは見ないから。」

「そっか。」

。。。

会話が続かない。話しかけても、なんだか態度が素っ気ない。



「あのさ、早く帰ってくれる?」

悠介くんは笑いもせずに言い放った。

「え。」

何を言われたのか理解できず固まる。

こんな顔を見たことがある。

エアー彼氏だ。

しょうがないから会う

しょうがないから食事する

しょうがないから遊ぶ

しょうがないから寝てやる

この“しょうがない”は

『どうでもいいけど暇つぶしにはなる存在』

という意味。

どうでもいい存在だからプライベートには入ってこないで欲しいのだ。何様だ。

まるで部屋の中に突然雨雲が発生して、ゲリラ豪雨が降ってきたのごとく一気に気まずい空気になった。


いい歳した女が、自分よりもかなり若い男の子の部屋にホイホイと着いてきて

一夜を共にする。そして次の日の朝には『早く帰って』と言われる。なんて便利なことか。コンビニか。

私は何をやっているんだとどうしようもなく情けなくなって、恥ずかしさが込み上げてきた。心はもう今にも死にそうな打ち上げられた瀕死の鯉状態だ。口はパクパクしてない。はず。

呼吸を整えて、一言だけ搾り出す。

私「うん。ごめん、帰るね。」

もう泣きそう。年上なのに。

悠介くんの前で泣くのは嫌だったから、

何とか笑顔を保ったまま帰り仕度をすすめる。

こんな時にも年上としてのプライドは発動した。

彼の部屋を出た。虚しさ、悔しさ、情けなさとかを抱きしめて。



人は恥ずかしさで死ぬことはあるのだろうか。

答えは、ある。

日本には『愧死』、『慚死』という言葉がある。読み仮名はググってね。

意味は“恥ずかしくて死ぬ”だ。

ストレスや不安により、アドレナリンが大量に分泌され、血流に異常が出て死に至る可能性があるという。人は恥ずかしいとき、困惑するだけでなく、ものすごい恐怖を感じとってしまう。その為に心臓発作が起きてしまうことがある。

引用元:カラパイア 不思議と謎の大冒険

アドレナリンが大量に出ていたかどうかは謎だけど、

かなり大きなストレスを感じたことは間違いない。

よかった。恥ずか死ななくて。






数分後、私は駅のホームにいた。

ドラマみたいにはいかない。

自分の日常が辛すぎて、ここ最近は悠介くんと会えることを

楽しみにしてきた。

昨日までの良い雰囲気から、この仕打ちは弱った心にストレートに効いた。

私はきっと誰にも必要とされていない人間なんだ。

我慢していた涙が一気に溢れてきた。

抱きしめていたドロドロとした感情も同じく溢れ出す。

朝っぱらから電車の中で目を真っ赤にして泣いて、鼻水まで垂らしている人を見たことがあるなら

それ、多分わたしです。

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