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21.独り善がり

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ルメディカ シャインホワイト



初めましての方は第1話からどうぞ✨



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悠介くんの部屋を飛び出した私は、

まだ彼のマンションのエントランスにいた。



『なぜ引き止めに来ない?』



そう。彼が走ってきて、

私を引き止めに来ないかと期待していた。

でも、現実ではそんなドラマのような

展開にはならなかった。



確か20分くらいは待っていた気がする。

30代の女が深夜0時に

マンションエントランス前に立っている。

とても怖い。






スマホを見てもLINEは来ていない。


『本当にもうダメになるのかな。ずっとここにいても仕方がない。帰ろう。』

薄暗い街灯の路地裏を大通りに向かって歩き出した。











結局朝の7時くらいに家に帰りついた。

どうしてそんなに時間がかかったのかというと、

道順を考える気力がなかったから。

私はあまりに辛いことが起こると

脳の思考機能が停止するらしい。

頭の中が真っ白すぎて

タクシーに乗るという考えも浮かばなかった。

結局一晩かけて歩いて帰ってきた。

泣きながら。






帰り着いた時には

夜があけて、空が明るんできていた。

部屋に入ってすぐにシャワーを浴びる。

鏡を見ると、涙をこれでもかというほど吸って

膨張したまぶたを

目の上にくっつけた痛々しい姿のアラサーがいた。

不思議と悲しいとか、悔しいとか

そういった感情はなくて

壊れてしまった涙腺からただずっと涙が溢れていた。








今度こそ夢から現実に戻ってきたんだ。



『便利なお手伝いさん』




あれが悠介くんの本音なんだろうな。

31歳と23歳じゃ、

最初から無理な話だったんだよ。

上手くいくはずがなかった。






この時の私は、

勝手に悠介くんのLINEを見て、

彼の言葉も聞かずに

勝手に打ちひしがれて

勝手に部屋を飛び出した。

まさに独り善がりの痛いアラサー女だった。

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