初めましての方は第1話からどうぞ✨
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『今度、ちゃんとしたデートしようか?』
この悠介くんの些細な言葉も
私の一生忘れないシリーズの1つ。
彼と出会ってから今まで
色々な恋愛術を仕掛けてきた。
それも全部この時のためにやってきたんだ。
やっと悠介くんが動いてくれた。
やってきたことは無駄じゃなかった。
前回会ってから数日後、
私たちはカラオケ店にいた。
初めてのお外デートはカラオケだ。
「上手い人とカラオケすると楽しいね✨」
デートにこぎつけたとしても、気は抜けない。
笑顔でさりげなく褒めることを
忘れてはいけない。
実際、歌を歌う彼の姿は眼福だった。
選曲がボカロの『Just be friends』
だったのはちょっと気になったけど。
私は西野カナをチョイスしてみる。
31の女が『トリセツ』を歌うのは
若干、いやかなり要求過多な内容ではある。
こうして振りかえってみると、
曲名からわかる二人の気持ちの温度差よ。
二人とも一通り歌い終えると、
どちらからともなく抱き合った。
私は悠介くんの顔に両手を添えてキスをする。
彼の頭を撫で、髪を掻き上げる。
背中に手を回した。
悠介「うつ子さん、俺のこと好き?」
ついにこのセリフが来たか。
言うか、言わないでおこうか迷ったけど
この瞬間を逃してはいけない気がした。
「好きだよ。」
とだけ返事をした。
悠介くんが私を両腕で包み込む。
実際、心と言われるものは胸の位置にはなくて
人の思考は全て脳が司っているはずなのに、
本当に胸の奥から“好き”の気持ちが湧いてきて
溢れる感じがする。
悠介くんもおんなじ気持ちだといいな。