スポンサーリンク

31.AIIS作戦 その①

スポンサーリンク
ルメディカ シャインホワイト

並木道の木々の葉はほとんど落ちてしまい、

冬はもうすぐそこまで来ている様だった。


いつものことだけど、気分は憂鬱。

客観的に見たら、30過ぎても結婚せずに

年下の彼氏といつまでも遊んでいるのは危険なこと。

そんなことを思いながら、

今日も私は悠介くんの部屋へと向かった。




「ただいま」

「おかえり」



いつの間にか最初の挨拶は“ただいま”“おかえり”になっていた。

この頃は週に5日くらいは彼の部屋にいる。

それに伴って自然と私の荷物も少し増えてきていた。

「ねえ、悠介くん。服が多くなってきたから、引き出しに入れてもいい?」

「いいよー。」

彼は台所で何かしながら返事をした。

私はタンスの中の彼の衣類を整理して、

紙袋に入れてあった自分のものを引き出しの一番下に入れた。

そして、まるまる1段を自分専用にした。

よかった。これで服が増えてもしまうことができる。





数日後、私と悠介くんは一緒に家具店に行った。

姿見が欲しかったからだ。

彼の部屋には鏡がない。

朝起きて、準備をしようと思っても

鏡がないのだから不便で仕方なかった。

「ねえ、悠介くん。朝準備するの大変だから、姿見買ってもいい?」

「いいよー。」

そして、折りたたみタイプの姿見を買った。

よかった。これで朝の準備が楽になる。





次は、テレビだ。

悠介くんの部屋にはテレビがない。

もともと見る習慣がなかったそうだ。

ドラマやバラエティーはまず見ないし、

ニュースはネットニュースで事足りると言っていた。

彼とは逆に、私はテレビとともに育ってきたような女。

テレビがない生活が辛かった。

「ねえ、悠介くん。テレビ持ってきてもいい?」

「いいよー。」

そして、私は自分の部屋のテレビを持ってきた。

よかった。これでいつでもテレビが見られる。



次は、掃除機だ。

本当に不思議なことなんだけど、

掃除機がなくても平気な人種がいる。

悠介くんだ。いや、本当はまだ結構いるだろう。

でも私はダメ。

フローリングはワイパーをかければいいと思っていても、

溝の間にあるゴミが取りきれていない気がするから。

「ねえ、悠介くん。掃除機買ってもいい?」

「いいよー。」

そして、ネットでポチッとした。

よかった。これで掃除機がかけられる。




次は。次は。次は。

そうやって私は自分の服や靴、

家具なんかを少しずつ少しずつ

彼の部屋に置いて行った。





そんなこんなしていたら、

悠介くんが気がつかないうちに、

私は自然に彼の部屋に住み着いていたのだった。続く。








タイトルとURLをコピーしました